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2005年 03月 02日
日本テレビで夜9時からやっていた「溺れる人」。比較的恵まれた環境で育ち、幸福な結婚をした女性が、なぜアルコール依存症(いわゆるアル中)になり、その病気との格闘がどんなに凄まじいものかをマザマザと見せ付けられたなかなか見ごたえあるドラマでした。 主人公を演じていたのは篠原涼子で、この人はわたしと同じマイペースB型オトボケ派が売りなだけと思っていましたが、実はスゴイ演技力ありでビックリしてしまいました。 自称「アル中」という人(わたしの友人にも)がけっこういるものですが、このドラマを観ると軽々しく使えなくなる。こんなにも残酷な病気だったんですね。 酒を飲めば、自分を失うまで飲み続けなければいられない。やがては酒を手に入れるためには手段を選ばず状態になってしまい、この主人公もスーパーで意識が朦朧とした状態で万引きをしてしまう。そして当然、家庭が崩壊していく。そのことは充分承知していても、やめられない。そして治療を受けて「断酒」をすれば、恐ろしい禁断症状との闘いがまっている。やがて主人公は自らの意志で「閉鎖病棟」(いわゆる監獄)に入所する決意をする。 主人公の治療にあたる看護師(?)役の室井滋が彼女に言う。 「この病気になる人はね。完全主義者が多いの。なんでも100点でなければ気がすまないっていう人ね。だから余計に自分がアル中であることにショックを受けて悪循環になってしまう。でもね、世の中には、100点もなければ0点もないのよ。」 ドラマを観ていくうちに、主人公がアル中になってしまった原因が、教育熱心な母親(これも栗原小巻が好演)にあることがわかってくる。その母親の希望に一生懸命答えようとするけど完全にはできない。あたりまえなんだけど、彼女にとってはそれが強いコンプレックスになってくる。でも、観ている誰もが母親を責めることはできないでしょう。母親が自分の娘に心から幸せになってもらいたいと思ってやってきたことなんだから。 なんだか急にわたしの少年時代を思い出してしまった。わたしも小学校一・二年のころだったか、親戚の叔父さんにこんなことを言われたのを思い出します。 「anoanoちゃん。○○家の名を世の中に広めるくらいの人間になってくれよ」 単純なわたしは、ほんとうに世の中に名を轟かせる人間にならなければいけないと本気で思ってしまった。もちろんそんなことは実現できない人のほうが大多数なのに、それが出来ないのは、自分に責任があるみたいに考えたことがたしかにあったような気がする。わたしは幸いにも、お酒はあまり飲めるほうではなかったので、アル中にはいまのところ縁遠い感じですが、実は誰でもこんな「闇」に簡単に落ちこんでしまう可能性がある。 そこから救い出すことが出来るのは「家族の愛」がいちばん大きい。そして主人公が最後に語る言葉が印象的だ(ちょっとそのコトバ忘れてしまったので正確ではありませんが)。 「わたしはアルコール依存症です。まったく不完全な人間です。でもそれを認めることによってはじめて、ほんとうに他人との愛情を知ることができました」 「エス」という誰もがひとつくらいは体験する思い出したくない事柄。それは、こんなふうに責任感や思いやりが強い人ほど、その体験に遭遇する機会が多いように思う。でも、どんなことでもそれをプラス方向へ転換することは可能だ。 話は変るけど、こんな風ないいドラマって、けっこういまでもやってるんですね。 わたしは、NHK土曜ドラマがすっごく好きでした。1990年代後半くらいで終了してしまったように記憶していますが、かなり内容の濃い、人間の心理を絶妙に描いた個性的な作品(ようするに商業ベースに乗らない)がたくさん登場していて、わたしは大ファンだったんだけどなあ。(いくつかはビデオに集録している。こんど見直してみよっと) その中でも、いま思い出すことができる作品としては、大竹しのぶが主演していた「八月の叫び」。記憶喪失の音楽家を追う女性が主人公で、ヨーロッパを舞台にして、時代は「プラハの春」(1968年)あたりだったように記憶いている。カフカを生んだチェコ特有の不条理感がただよったドラマで、大竹しのぶが、並木道でとつぜん発狂して「あーーーー」と叫ぶシーンが印象的。こんな作品、民放ではぜったい上映できないでしょう。 不正問題で揺れるNHK。あの土曜ドラマのような上質なドラマを国営放送だからできるってことがあると思う。お願い、またあのころのような個性的な土曜ドラマやってくれないかなあ。
by anoano21
| 2005-03-02 14:19
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